月刊ハコメガネマガジン

好物はカレー。

人との買い物は気を使うという話

雑貨屋で3時間潰せる私は、人との買い物に向いていない。


控えめに「潰せる」と書いたが、正しくは、「潰れる」である。決して無理矢理ではなく、気がついたら時間が経っているのだ。我ながらびっくりする。待ち合わせの時間の前に少し寄ってみようと立ち寄って、ぎりぎりまで気が付かないというのはよくあることだ。

特にハンズはまずい。ハンズを雑貨屋と評していいのかどうかは意見が別れるところであるが、無印良品やロフトと比べても比較的大型の商品を扱っていることが多い。魔が差して、「ちょっとこれいいかも」なんて思ってしまい、財布に余裕があった時が悲惨である。あまり迷うことなく商品を買い求め、結果として無駄遣い、おまけに今から人と待ち合わせだというのに荷物を増やしていくハメになるのだ。「…何その袋」「ごめんつい…」ああ。その光景が自分のことながら目に浮かぶ。

それにしても、世の中には無駄なものが多い。否定的な意味ではない。どちらかと言うと褒めている。生活していくうえで、ブリキのバケツも、シックなブックエンドも、ビールのグラスにつけて超音波で泡立たせる機械も基本的には必要ない。今私が最近買って若干後悔しているものが具体的に上がったが、買いたくなるのだ。雑貨屋の魔力とは恐ろしいものである。

「そんな買いたくなる?」
「ならない? いろいろあって、部屋のインテリアとか想像すると楽しいじゃん」
「ふーん…私はそんなにならないかな」
「まあ、君の部屋シンプルだからね…。でも、ものは多いじゃん」
「私は自分で『作る』もん」

そう言って彼女はのこぎりを引く仕草をする。

さすが家具工場に勤めているだけある。とても男らしい。生まれてくる性別を間違えてきたタイプの人間である。そういえば、この女とホームセンターに買い物に行った時に、ペットコーナーではなく角材とか工具コーナーで2時間ぐらい時間がかかった覚えがある。日曜大工のお父さんでもそこまではかからないだろう。うんざりした記憶がある。

が、人から見れば、私の雑貨屋での買い物も、そう見えてしまうのかもしれない。

気をつけようと思います。