月刊ハコメガネマガジン

好物はカレー。

孤独な戦いは時に人に誤解を与えてしまうという話

水曜どうでしょうに「対決列島」という企画がある。


私のことを少しでも知っている人間は、私が頭に「馬鹿」のつくぐらい水曜どうでしょうが好きなことを知っているだろう。作業中に水曜どうでしょうを流していれば、別に画面を見ていなくても画が浮かんでくるぐらい見ている。まあ、そんな複雑な構図をしていない企画がほとんどだからできる芸当ではあるが。

水曜どうでしょうが好きですーという人は結構いて、そういう人がいるたびにマシンガントークをかましているが、いまだかつて私の語りについて来られる猛者がいないのが悩みでもある。最近はもっぱら、ライト層を気取って程々の共感を得る流れになっている。親しい人間の間では素が出てしまうが、合コンを始め数々の場でドン引きされた過去から学んだ教訓である。合コンとか行ったことないけど。

さて、そんなライト層でも知名度のある企画、というものがある。具体的には、サイコロの旅、シェフ大泉シリーズなんかがそうだ。

それと並んで知られるのが、対決列島という企画である。北海道から鹿児島まで、二つのチームに分かれて早食いを競い勝ったらその土地を獲得、最終的に獲得した地域が多いほうが勝者となるという、お酒に酔った勢いで出たアイデアに肉付けしました感がとんでもない企画である。無論褒めてる。

どうでしょうファンの中でも、名作と名高いこの企画だが、元となった事件がある。サイコロの旅の最中で電車内で行われた、白くま早食い対決である。

セブンイレブンが商品として導入したおかげで、全国に知られることとなったあのかき氷である。作中ではもちろん元祖のかき氷を食べているが、皆一度は見たことがあるのではないだろうか。

かき氷の中心に練乳、そして上にはこれでもかと盛られたフルーツ。全部が全部固まっているおかげで、冷凍庫から出したばかりだと硬すぎて手がつけられない。少し時間を置いてから、スプーンでガシガシ削っていくアレである。

それを早食いするわけである。もちろんアイスであり、一気に食べればアイスクリーム頭痛にたちまちのうちに襲われるハメになるのだが、それをいかに回避して、相手より早く食べきるか、という駆け引きが非常に手に汗握るバトルだ。

私は若い時からこの戦いが非常に好きで、常々自分もやってみたいと思っている。のだが、残念ながら付き合ってくれる人間がいない。白くまというアイスにしては若干高めな値段設定(ハーゲンダッツとタメを張る)と、早食いなんかするのはもったいない、明らかに頭痛に襲われるのが目に見えているからだという。それがいいのに。

というわけで、私は今日も自主練に励むのである。いかに早く、頭痛を回避し、白くまを食べきるか。高度な駆け引きと、自らの体調を加味した頭脳戦である。

が、時には計算ミスでひどい頭痛に襲われることもある。

「……何してるの……?」

アカン物を見てしまったという目で見つめられること数回。ついに「あ、これツッコミ待ちなのかな」という謎の機微を感じ取って友人が一言。瞳には諦めの色が浮かんでいる。

ちゃうねん。これこれこういう理由があって、これはスポーツの一種であって、決して遊んでるわけでも、白くまをわんぱくに食べたいわけでもないねん。そこまで子供ちゃうしな。やってみ、これホント頭痛無しで食い切るの難しいねんて。ほら、食べてみ?

「…や、いいよ…、その、楽しみ奪っちゃ悪いしさ。鼻息荒いし」

ちゃうねん。Mちゃうねん。かき氷で頭痛食らって興奮するってどんな特盛り設定やねん。

ワイは、普通やねん。