月刊ハコメガネマガジン

好物はカレー。

日向豊とぼっちゲーマーラプソディのお話

ゲームは、逃避であり、娯楽だ。


いえね、昨今e-スポーツだなんだと盛り上がってますので、バッサリとゲームを「逃避」だなんて言ってしまうと、色んな人から刺されかねないのですが、あくまで、個人としての見解、という形で聞いていただければと思うのです。

実は、先の言葉は自分が言ったわけではなくてですね、「ゲーマーズ!」という作品の主人公、天野景太が発した主張なわけです。多分初っ端の初っ端、学園アイドルで羨望の的、天道花憐が部長を務めるゲーム部に誘われ、それを断る際に、「自分がやりたいゲームはここにはない」という主旨で、そう言ったんです。

ま、フィクションだと言われればそれまでなのですが。割と豊さんには響いた言葉なわけですよ。

ゲームをする目的、って、大人になればなるほど考えてしまうものですよね。豊さんはそれなりに社会の目を気にしてしまう質なので、一人用のゲームをオフラインでひたすらする姿って、一般的に見ればあんまり好意的には見えないものです。

最近のゲームは、オンラインで友だちと遊んだり、顔も知らない誰かと競ったり協力したりといった仕様になっているものが多いように思います。昔もマルチタップと言って、一つのゲームで4人5人が対戦して遊ぶみたいなものはありましたが、今は100人で競い合って1人の勝者を決めるようなゲームもあります。

それ自体を否定する気はサラサラなく、自分だってランキングが表示されれば「もっと上に行ってやろう」とか、勝負で負けて悔しいと思うことも多々あります。

そう、他人とのコミュニケーションツールとして、ゲームを利用する。これはとても正しい図だと思うのです。

ゲームの中で強くなれば、他人から頼りにしてもらえる。ゲームの知識が豊富ならば、他人から尊敬してもらえる。顔がわからなくたって本名なんか知らなくたって、「友達」に会える場所がゲームの世界にはあるのです。これはとてもすごいことです。

それでも一方で、息苦しさを感じてしまう場面があるのも事実です。

気にしすぎだと言われればそれまでかもしれませんが、例えば「他人と協力しなければ手に入らないアイテム」や、「達成できないクエスト」なんていうのが割と苦手だったりします。

自分が手伝う立場なら、そんなことは思っていないことは分かるのですが、人はどうしてでしょうね。「強者に頼る」ことを遠慮してしまうことがあります。大なり小なり、覚えがある人も多いんじゃないでしょうか。変なプライド意識だと言われればそれまでなのですが。

後はそうですね、音ゲーなんかは、本質として「曲に合わせてリズムタップを楽しむ」ものだと思っているのですが、それが「スコア対戦」になってしまうことも多々あります。

違うんだ。僕はゲームがしたいだけで、他人に買って優越感に浸りたいわけではないのだ。と心の中でいつも思ってしまうのです。

そういった点では、ランキング勝負、だったり、ゴーストのような、ガワ(設定)は人だけど中身はコンピューターと対戦、みたいな状況はいくらか気が楽です。自分が勝っても恨まれないし、自分が負けても悔しさが相手に伝わらないし。

なんと言うんですかね。結局コミュニケーション下手なのがゲームやってる時にも発揮されちゃうんでしょうね。だから冒頭に上げたような、一人用ゲームを部屋にこもって黙々とやる、みたいなシチュエーションに心落ち着かせてしまうのです。

これまた無駄な悩みなんでしょうけど、「果たしてこれは正しい姿なのだろうか」と考えてしまう自分がいたんですよ。

いやもうゲームなんかしてる時に生産性なんか考えてもろくな結果にならない、というか明確な生産性なんかあるわけもないんですが、先に上げたコミュニケーションツールとしての有用性が確立されている以上、そういった使い方をしなければいけないんじゃないか。そんな事を考えてしまうのです。

ゲームをしていて、なかなかな長年の悩みだったのですが、先の言葉、ゲームは「逃避」であり、「娯楽」である、と。

いやぁ割と目から鱗が落ちる勢いでしたね。

「逃避」であるなんてバッサリ言ってしまうなんて割と勇気のある行為だと思うのですよ。自分の趣味をマイナスであると認めちゃってるわけですから。(フィクションですけどね)

でも、それが故に娯楽であると。競い合うのもゲームの姿の正しい姿であるけれど、それは自分には合わない。そう言う主人公の言葉がすごく印象に残りました。


という、「一人で黙々とやるゲームもよいよ!」というお話でした。

ちなみに、「ゲーマーズ!」ですが、原作ライトノベルの他に漫画、アニメにもなっております。

勘違いとすれ違いが織りなす青春群像劇で、ゲームのことがわからなくても笑えて楽しめると思います。

ちょっとでも興味があったらぜひ。

豊さんは、(賛否両論ありますが)いつまでもアニメ2期を待っています。