月刊ハコメガネマガジン

好物はカレー。

いつの間にか行きつけのショップが閉店していてためていたポイントが霧散した話

エロゲ市場が危うい。


いや、斜陽の業界だというのはさんざん前から言われてきたところであり、何を今更とお思いの諸兄だろうが、話はなかなかに深刻である。

中古ショップが相次いで閉店しているのだ。

我が広島の地でも、大手中古取扱店が閉店、取扱店も徐々に規模を縮小、エロゲが買える環境というものが衰退の一途をたどっているのだ。

その一方で、新品を買う環境は無いことはない。とらのあなを始めとしたオタショップと呼ばれる実店舗もあるし、ダウンロード販売も盛況である。いや、今の業界の状況を見る限り、流通や販売、在庫のコストの掛かるパッケージ販売よりも、ダウンロード販売のほうが理にはかなっているのだろう。

だが、コンテンツの寿命として見たときに、今のこの状況はちとマズイ気がするのだ。

中古のゲームが流通しないということは、裏を返せば価格帯が高くなり、ユーザーの参入の壁が高くなってしまっていることを示す。私のような社会人中堅はともかく、社会人なりたてや大学生と言った新規参入層にとって、フルプライスのエロゲを新品で買うのはなかなかハードルが高いと言わざるをえない。

さらに言えば、新品取扱店は、基本的に在庫を持つことを良しとせず、ラインナップも近年のものに偏りがち、陳列されている棚も寂しいものである。これではジャケ買いも掘り出し物を探す楽しみもありはしない。「うわこれ懐かしい、新品で買うほどじゃないけど中古だったら安いし手元においておいてもいいかな」という真理がとかく働かないのだ。

新品で買うほどじゃないけどちょっと気になっていた作品というものはまぁどこのコンテンツでもあるわけで。そこで自分の趣味に合えば、次回作だったり続編だったりを買ってみようという気になるし、外れたとしてもダメージが少ない。もう先程から完全にユーザー目線でしか無いのだが、中古エロゲショップにはそういった需要が確かにあったのである。

また別の面では、先達から後進へ譲渡するという図式が失われつつあるという点も見逃せない。要するに、公園に打ち捨てられたエロ本の上位互換である。僕らはこれを知って大人になる。新品を、高額商品を、恥ずかしくて買えない商品を、自分の趣味嗜好とは全く異なる世界の扉を開いてくれるのは、いつだって偉大なる先輩たちだったはずなのだ。

誇れるほどゲームを買っているわけでも、中古ショップを利用していたわけでもない、しがないユーザーの一人でしかない自分にできることなどたかが知れているとは思うのだが。

今の所消費することでしか経済を回せないのが、惜しいところではある。