月刊ハコメガネマガジン

好物はカレー。

結局サンもムーンも予約させられた話

はろいんなのはろいん!


無邪気にそう言い放つ幼稚園年長組の姪をみて、私は頭を抱えた。昨今のハロウィンブームは幼稚園にまで進出していた。その姉は呑気に「トリック・オア・トリート」と呪文のようにつぶやき、私と同年代である母親は「ハロウィンってお菓子あげる以外に何するの? アップルパイとか作ればいいの? あ、ゆで卵に絵を描くんだっけ?」とトチ狂ったことを言っていた。それはイースターであろう。

その後、アメリカンなホームパーティのありったけの知識を総動員して、「カントリーマアム…? アップルパイ…? ニシンのパイ…? ケーキ? あ、七面鳥!?」などと連想ゲームばりに料理をつぶやいていたので流石に止めた。ケーキまでならともかく、丸焼きは確実に2ヶ月ほど早い。幼稚園児が「ニシンのパイー!」と言っていたので、多分昨日魔女の宅急便を見たのだろう。わかりやすい親子である。

私はニシンのパイはあまり一般的な料理じゃないということを幼稚園児に説きながら、そろそろこの「ハロウィン問題」から目を背け続けるのは不可能だろうなと感じ始めていた。

別に渋谷に繰り出してちょっと露出の激しいナース姿のお姉さんと乾杯したいわけじゃ断じて無い。室内ならともかく、10月の終わりは正直寒い。「ああ…あんなに足出して…冷えるのに…」という感想を持つのが関の山である。我ながら枯れているなぁと思わないでもないが、寒空の下で過ごすのは勘弁して欲しい。こちとら冷え性気味なのだ。

ハロウィンとはなんぞやという議論をするつもりは毛頭ない。東洋西洋入り乱れた上にお菓子企業がはじめたお祭りが全国的に定着している国である。もはや本質はハロウィンではなく、お祭りとなっている感がすごい。

断じて否定しているわけではないのだ。個人的にもお祭りは好きだ。遠くで見ながらちびちび煽るお酒が好きだ。だが渦中にいる人間から見れば賛否両論あるのは無視できない事実であろう。

そういった、私のような「条件付きでハロウィン賛成」という人間が多いように思う。まぁそれ以上に多いのは「興味ない」という層なのであろうが。が、幼稚園や小学校にハロウィンが浸透してきている事実を見るに、そういったそうもだんだんと減ってくるんじゃないかなぁと思う。

少なくとも単純に無くしたくはないなぁと姪姉妹を見ながら思うのである。

そんなことをボケーっと考えながら、買い物をしていたら、小学生の姉が走り寄ってきて、

「ねぇおじさん」
「お兄さんとお呼び」
「お兄さん、『トリック・オア・ポケモンサンムーン?』」
「……」
「あれ? 違う?」
「いや…え?」
「トリック・オア・トリートって『いたずらかお菓子』なんだよね? トリックがいたずらでトリートがお菓子で」

その後、答えに詰まっていると、幼稚園の妹まで真似し始める始末。母親は母親で「あら私が買わなくても良くなったわ」とこの事態を容認し始めよった。こいつ…!

 

誰だよ。小学校に英語教育取り入れようとかアホみたいな思いつきしたの。

それには反対するぞ、断じて。