月刊ハコメガネマガジン

好物はカレー。

重要度に対する重み付けの話

歯医者に行かなければならない。


この歳になって虫歯もクソもないのだが、ある日我が家の郵便ポストに「30歳の定期歯科健診のご案内」たるものが届いた。要するに切りの良い年齢だから歯の定期検診に行きなさいってことらしい。初めて届いて驚いた。…いやまあ、何度も届いていたら問題なのだが。

別に法的拘束力など微塵もなく、「ふーん、そう」ぐらいの勢いでそのまま捨ててしまってもいいのだが、こういうところで変にマメなのだ。逆に同時に届いた運転免許証の更新のお知らせは事前に来ることがわかっていたせいか、「ふーん、そう」でぎりぎりになるまでその存在を放置していた。普段車に乗らないせいもあるのだろうが、相変わらず自分の中での物事の重み付けがおかしい。

だがまあ確かに、親知らずを無理やり引っこ抜かれて以来、歯医者には行っていない。あの時はひどかった。ちょっと奥歯が痛くなって、律儀にも「虫歯だろうか」と思って歯医者に行ったら、

「親知らずですね」
「ひゃぁい(はぁ)」
「抜きましょう」
「ひゃ…あ!?(はい…え!?)」
「麻酔打ちますねー」

と、器具を口の中に突っ込まれたままの問答(意思疎通はもちろん出来ていない)の後、にこやかに麻酔を打たれて、歯を抜くと言うよりは「砕く」と表現した方がいいような抜き方で親知らずを破壊され、「あそこは絶対にヤブ医者である」と頬を腫らしたまま周囲に言いふらして以来、歯医者には行っていない。

それ以来、「ちょっと歯が痛いかな…」→「気のせいだな」の根性論で治していた(と本人は思っている)。本音を言えば、自分の今の状況がどうなっているのかも気になるところではある。手遅れになる前にもう一度しっかりしたところで見てもらったほうがいいのではないか。自分の中のもうひとりの自分がそうプレッシャーを掛けてくる。

まぁ確かに歯は大事だ。ものを食べるのを始め、喋ることにも大きく関わっている。

しゃあない、行くか。歯医者は苦手だけど仕方がない。


…けどその前にとりあえず免許更新行かないとヤバイ。失効は勘弁して欲しい。