月刊ハコメガネマガジン

好物はカレー。

欲望の獣を飼いならす話

私の嗜好品の買い物スタイルは、最近、「寝かせる」ことにしている。


多趣味といえば聞こえはいいが、単純に何匹猫が死んだのかわからないレベルの好奇心をしている、熱しやすく冷めにくい非常に厄介な性格だとその昔自己分析の結果が返って来た。その当時はそれなりに「私はそんなに浮気症なのか…」とショックを受けたものだが、そのうち「英雄色を好む」とか、「男の甲斐性」とかいう素敵ワードが私の中で踊り始め、いつの間にか熱しやすく冷めにくいが女性の話にすり替わり、結局本質は何も変わらないのに、そういうのもいいかと相成っている次第である。我ながら論点のすり替えがスムーズすぎて笑う。

こればっかりは培ってきた性格によるものであり、一朝一夕でどうこうできるものではない。仕方がない。しかたがないと言いつつ給料日の度にハンズに行き、使いもしないおもしろ雑貨を買ってくるのだ。

 このままではいかん。いい歳して浪費癖は笑えない。かの歴史的浪費家マリーアントワネットだって30を過ぎる頃には多少落ち着いていたに違いない。

というわけで、衝動的に買ってしまうことを控えることにしているのだ。

ハンズやロフトに行って買うのもそうなのだが、私の一番の浪費ポイントは、何を隠そうAmazonである。ネットショップとはかくも怖いものである。

思うに、「基本的になんでもある」ことと、「ほぼ定価と同じか定価より安価に変える」というポイントがまずいのだと思う。普通に買うより安いし、という名の免罪符が使えてしまうのだ。いやまあ普通に買うより安いのだが。

後は検索ソートの巧妙さである。商品の関連性のタグ付けの仕方が神がかっている。いつまでたっても関連商品の検索が終わらないのだ。あっちこっちさまよいながら、結局目的外のものまでカートに入る。消費者心理を読み過ぎである。私が単純なだけかもしれない。

だから、最近は、「寝かす」。要するに、カートにそのまま入れずに目的外のものはほしい物リストに放り込むのだ。そしてとりあえず買った気になって、目的のものだけを買う。コレが賢い買い物の仕方である。

これの利点は、ほしい物リストを定期的に棚卸しすることで、一時的な欲求によるものと、恒常的な欲求によるものに区別することができる。具体的には、1ヶ月に1回ぐらい棚卸しをして、半年間ほしい物リストに入っていて、なおかつお金に余裕があれば買う、と言った具合である。

ゲームや本の場合はこれに、時間が取れるかどうかの判断が入る。時間が取れないのに超大作RPGを買って何度後悔したか。大丈夫、私、学んでる!

この「寝かせる」作戦が優秀であり、以前に比べて浪費は少なくなった。相変わらず本棚から本とゲームとCDは溢れかえっているが、それでも新しい物が増えないだけで結構違う。

がしかし。どうだすごいだろう、とこの欲望抑制法を自慢気に語っていたら、途中で冷静に突っ込まれた。

 

「無駄なもの、って言うか、予定外のものを買う時でも、普通の人は、収支のバランスを考えて。自分の予定を考えて。収納スペースを考えて。んで、その上で買い物すると思うよ」

 

齢三十にして、ようやく普通の人レベルに到達しました豊と申します。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。