月刊ハコメガネマガジン

好物はカレー。

突発的な片付けは思わぬ精神的ダメージを受けるという話

家の中が荒れているらしい。

一言に荒れるといっても、種類がいろいろある。ごみが捨てられずにごみ屋敷になるとか、掃除機がかけられないとか、洗濯物が洗濯機からあふれ出ているとか、程度や種類は千差万別である。

だが共通しているのは、大体その「片付いていない」ことの本質を、本人が理解できていないことにある。

「あんた部屋片付けなよ…」
「? なんで? 片付いてるじゃん。洗濯物ないし洗い物ないし掃除機だってかけてるし」
「本と漫画が平積みされてるじゃん。しまいなよ」
「いやそれは本棚に入りきらないから。本棚が足りないからしょうがないじゃないか」

と主張したところ、静かに「いやそれは本棚のせいじゃなくて、本が多いのでは?」という素朴な疑問をいただいた次第である。


これはね、すごいことです。

私は本当にかけらも「部屋が片付いていない」ということに気がついていないのである。だが確かに言われれば、本が地べたに平積みされているこの状況は「部屋が片付いていない」し、その原因を問われたときに回りくどくも「本棚が足りないから」という答えをしたのだ。

しかし少し冷静になってみれば、どう考えても本が多いことが原因である。本棚の容量をまったくもって考えずに無計画に本を買い続ける私の行動が残念であると誰でも思うだろう。私ですら指摘された今ではそう思う。誠に慙愧の念に堪えない。

本棚が足りないというのは、まぁ間違ってはいない。正解の一つである。だが、真に模範的な回答、モアベターな回答、世界が求めている回答というのは、えてして自分で気づけないものなのかもしれない。

だから決してうぬぼれてはならない。人と対話するということは、答えあわせであり、答えを掛け合わせることであり、より物事の本質を見抜ける唯一の方法なのかもしれない。

…とまあ、ずいぶんと壮大なことを書いたが、それならばと一念発起して本棚の本を棚卸しし始めたら、死ぬほど成人指定図書が転がり出てきてげんなりしたことを追記しておく。