月刊ハコメガネマガジン

好物はカレー。

ひらがな表記というところがわかっている感を倍増させるという話


ぱふぱふ、である。


いきなり何を言い出したのかと思われるかもしれないが、今日は改めてこの言葉の奥行きを感じてみたい。

鳥山明なのか堀井雄二なのか、それともゲームデザイナーのうちの誰かなのかは分からないが、なんとまあとんでもない単語をこの世の中に解き放ってしまったものだといつも思う。

敬虔な諸兄においては、もはや魂に刻まれた言葉として、今更意味を解説することなどおこがましい。それどころか、言葉について言及することによって、その神性が失われかねない。そういう類の言霊である。

美しい日本語としてそれなりに上位に食い込むであろうこの言葉は、太古の昔から男たち、そして一部の女達を夢見させてくれる魔性の言葉でもある。

あれは私が小学生の頃だったろうか。

「無垢」という言葉以外の何物でも表せなかった私の小学生時代に、突如としてゲームという文化が現れ、「無垢」に若干の陰りが見え始めた頃だ。

まだマリオとかボンバーマンとかはいい。あれらは空想の世界の話であり、どこの世界に亀が二足歩行して女をさらったり、人間と同じ大きさかともすればそれよりでかい爆弾で対決するのか。そんなことは現実にありえないだろうと子供ながらに思っていた。

だが、だんだんおかしくなり始めたのは、RPGという文化が徐々に頭角を現し始めた頃である。

その最たるものが「ドラクエ」なわけだが、今思えば、どこの世界に軟体生物をひのきのぼうで殴って強くなる人間が居るというのか。だが当時は、明確な「ストーリー」と「ドラマ性」があることによって、「これは大昔に本当にあったことなんだ!」と頭の中で考えてしまったのだ。まごうことなき「無垢」である。そしてそれは世間一般で言う「アホの子」であった。

徐々に現実世界に「ファンタジー」が侵食してきており、ごっこ遊びに夢中になった。ひのきのぼうとぬののふくを装備して隊列を組んで軟体生物を探しに行く旅に出るのだ。もう顔も思い出せないが、とりあえず確かなのは「アホの子」は確実に四人はいたわけだ。


そんな我々が出会う「ぱふぱふ」という言葉。


なんというか、真綿で首を絞められるようにじわじわ効いてくるのだ。

ドラクエでいうぱふぱふは直接的な表現をせずに、期待させるだけさせて落とすというまぁ古典的なだましの手法を使っている。というか騙してもらわないと困る。当時はまだCEROさんとかいなかったのだから。お茶の間でテロが起きてしまう。まぁ当時はゲームどころかテレビでとんでもないレベルのテロが目白押しだったわけだが。

ともかく、真っ暗な画面にメッセージウインドウが出てきて、何かこう、意味深なことを言うのだ。

今でこそ「ふーん」としか思わない。…申し訳ない。「ふーん…」ぐらいは思う(この違いがわからない人間は侘び寂びがない)。とにかく、そこまで衝撃ではないのだが、当時は違った。

だって何をしているのかわからないのである。

しかも四人のうちの一人が妙にませていて、意味深なことを言うのである。詳細はもう思い出せないが「お前らエッロ~!」とか言ってたような気がする。全然意味深じゃなかった。ど真ん中ストレートである。

かくして、幼心に「ぱふぱふ」は暗闇で行うなにかエロいことという認識が出来上がってしまった。

この絶妙な「謎」が、もうたまらない。

そこまでいくともう「ぱふぱふ」から逃れられない。

行動を「ぱふぱふ」に縛られてしまうと言っても過言ではない。

具体的にどういった行為がとか、そういう問題ではなく、あの頃の衝撃が、「ぱふぱふ」を浪漫に変えている。それは今になっても同じである。

このブログというか日記は、健全なものとして、老若男女に広く門戸を開いているため、これ以上の描写は自主的にご遠慮させていただくが、そういった本来の意味を上回る付加価値を持った言葉は、いつの時代も輝いているものだ。


大切にしていこうと思う。ぱふぱふ