月刊ハコメガネマガジン

好物はカレー。

外見上のパーソナリティについての話

背は、高いほうだ。

180センチオーバーというのは、なかなかに世間一般では「でかい人」と認識されるらしく、初めて行く場所ではだいたい半分ぐらいの確率で「背が高いね~何センチあるの?」と訊かれる。

まぁこれは私が初めて行く場所では、人見知りのせいで仏頂面になっているためになんとか会話のきっかけを探り出そうとした相手側の苦肉の策なわけで、私としては内心そんなところにまで気を使わせてしまって申し訳ないと思うばかりなのだが、まあとにかくよく訊かれる。多分、コンビニで売っている500円ワンコインシリーズの会話のハウトゥ本にも背が高い人間には背が高いと言っておけと書いてあるに違いない。そんなことを書いてお金をもらえるなら私も書きたい。

とにかくよくその話題になるのだ。

そんな話題を私のまわりの人間はよく聞いているから、私を表現する時に、「背が高い」というパーソナルデータをだんだん軽視する傾向にあることが最近わかった。

「背が高い人だよ」

なるほど。確かにこれでは分からんだろう。

一般的に言って、背が高いというパーソナリティはまぁ有効だろう。だが、知らない人が私という人間を見つけるのに、果たして背が高いという特徴だけで見つけられるかと言われれば首を傾げるしかない。

そもそも、背が高いなんて言う特徴は、その人の主観であって、客観的事実ではないだろう。日本人成人男性の平均より背が高いからといって、それを端的に背が高いと表現するのもなにか違う気がする。というか、大体の人間は日本人成人男性の平均身長を知らないだろう。

というわけで、主に仕事上において、私を知らない人間に紹介する時に、まわりの人間はいろいろな表現を使う。


先日、会社外で、初めて会うクライアントと待ち合わせをしたことがあった。

手違いで私が連絡出来ず、事務所の同僚が私の特徴をクライアントに伝えたのだが、

「でかくて仏頂面」
「でかくて何考えているかわからなそうな人」
「殺人鬼みたいだけど別に怖くはない」
「下ネタしか言わないし考えてない」
「基本的に思考回路がおかしい」

後半はすでに悪口である。

というか、会ったことがない人と社外で待ち合わせをする時の話であって、それならば外見について言及するのが常であろうに、ほとんど事実無根の内面データを伝えられた我がクライアントは、一体どういう気持ちで私に話しかけなければならなかったのか想像に余りある。というか本当にこれがビジネスの場において交わされた会話だというから恐ろしい。

しかし何より恐ろしいのは、

伝えられた情報でピンポイントに私に話しかけてきたクライアントである。

 

…どういうふうに見えたのか。